キャリアパス

人事制度(キャリアパス)の構築・運用

近頃の介護ニーズの複雑化に対応し、相手先の要請を満たす質の高いサービスを提供し、同業他社との競争に勝ち抜いていくためには、顧客(高齢者や障害者等)に対する介護サービスの担当者である「介護人材」の安定的な確保とその資質向上が不可欠です。
介護人材のキャリアパスを考えていく上では、採用時点、ある程度実務をこなした後など、それぞれの段階で求められる役割、能力をはっきりと示し、求められる能力の習得を目指した資格・能力研修を構築しておく必要があります。
そのためには、介護従事者が就業に対して満足感を持ち、やりがいのある職場だと思わせることによって、利用者の満足度も同時に高まっていくような好循環を生むようなキャリアパスを整備することが必要になってきます。

もし、介護職員一人一人が、職場に愛着を持ち、自らの目標も「達成できる!」と信念を持ってくれたなら、経営者の皆様の「悩み、苦悩」は半減することでしょう!

このような皆様におすすめいたします!

  • 人事制度(評価制度や賃金制度)というものをどう作ればいいのかわからない
  • 評価制度、賃金制度は一応あるが、規準があいまいだ
  • 評価も賃金も経営者の経験で出しており、介護職員からは根拠がないとして不評だ
  • 事業所に対する貢献度に応じた賃金制度としたい
  • 介護技術はあるが、部下を指導できない管理者がいる
  • 評価者によって部下の評価がまちまちだ
  • 後継者のリーダーシップ能力に問題がある

人事制度の本当の目的とは?

多くの会社が考える人事制度の目的とは次の通りです。

  • 人事制度とは賃金を決めるためのものである
  • 人件費削減をしたいというのが本音だ
  • 下手に人事制度を構築すれば、「評価」されたくない介護職員から反発を買う

・・・・いやいやそうではありません。
当事務所では、「人事制度の目的は、介護職員の成長をサポートすること」であると考えています。介護・福祉事業所にとっては「介護職員が成長する」ということは「事業所の業績アップ」に直結することになります。

退職者が語る「退職理由」のうち、最も多いのは何かご存知でしょうか?
賃金が低いことでも、職場の人間関係でもありません。
「この事業所にいてもやりがいがない」、「事業所の目指すビジョンがわからない」として辞めていくのです。

事業所経営者が介護職員に対して、「この事業所にいると、自分の成長が実感できてやりがいがある」という実感を持たせることができるかどうかがその事業所の経営が成功するかどうかの試金石となります。

人事評価制度や賃金制度を持つ企業は数多くあります。
しかし、評価と処遇(賃金・賞与・昇級・昇格・昇進・退職金)がきちんとリンクしているか、また、その構築の仕組みが就業規則や諸規定と同比較した場合に、経理者の経営理念に従って同方向を向いているかどうかというと、ほとんどの企業で不明確と言わざるをえません。
そして、不明確である限り、事業所経営者と介護職員との間の溝は埋まりません。

最近では、事業主向けに各種経営セミナーが花盛りです。その中には、対従業員の労務管理のスキルを伝授するものも数多くあります。
これらのスキルの習得が無駄であるとは決して申しません。
ただ、申し上げたいのは、スキル習得の前にやるべきことがあるだろうということです。それは、滋養所経営者と介護職員、上司と部下との評価や考え方のギャップを埋めることです。このギャップを無視しての経営はありえないのです。

本来の人事制度は、このギャップを埋めるものです。
当事務所では、経営理念を元にして、下記のように作成していきます。

  1. 組織体制に連動した等級フレームを定める 資格等級制度
  2. 明確かつ公平な考課(評価)規準を定める 考課(評価)制度
  3. 評価に従って賃金(昇級・賞与)を定める賃金制度
  4. 評価に従ってステップアップを定めるステップアップ制度
  5. 評価結果のフィードバックにより、介護職員の成長をしっかりサポート(=教育)する教育研修制度

人事制度は介護職員一人ひとりの理解が必要であり、それでこそ活用できるものです。「複雑で難しいものこそ価値がある。」との世間の風潮がありますが、人事制度はそれでは困るのです。人事制度はわかりやすいものでなければなりません。そうでなければ、肝心の「制度の運用」ができないからです。

制度の運用ができて初めて介護職員一人ひとりが「自分の価値を会社が評価してくれる喜び」「自分の待遇を上げるためには、会社の収益向上が不可欠であること」を体感できるようになるのです。すなわち、介護・福祉事業所の収益アップとためには、次のような図式が必要なのです。

介護職員満足度(ES)+ご利用者の満足度(CS)=ステークホルダー満足(SS)、収益アップ

この図式を成り立たせるため、当事務所の提供する人事制度は次のような特徴を持っています。

当事務所が提供する人事制度の特徴

目的「賃金決定のための制度」から「介護職員のやりがいのための制度」へ

人事制度が職場に定着するためには、長い時間が必要です。そして、組織をあげて取組まなければなりません。また、上からの一方的なトップダウンではなく、介護職員の目的意識、組織への貢献意識を育てるものでなければなりません。

【特徴1】 評価基準がオープンなため、職員のなすべきことがはっきりと示されます

「会社が期待していることは何か(会社が職員にして欲しいことは何か)=職員のすべきことは何か」を事前に明らかにします。そのために、職種(ヘルパー、介護支援専門員、看護師、事務員等)や階層(管理職、一般職等)ごとに「人事評価シート」を作成します。これにより、職員が「自分は何をなすべきか?」がわかるだけではなく、管理職、上席による部下の指導に関して、指針を示すことにもなります。

【特徴2】 評価結果が、賃金(昇給、賞与配分)に連動します

世間では、人事評価の結果がどういうふうに処遇に反映されているのか、肝心の被評価者たる職員に知らされていないケースが散見されます。当事務所では、処遇決定の仕組みを事前に確認できることで、職員に安心感を与えられます。

【特徴3】 事業所の業績も職員の賃金(昇給、賞与配分)に反映します

さまざまの外部的要因により、職員がせいいっぱい努力しているにも拘らず、事業所の業績が落ち込むことはあり得ることです。このような場合は、職員の給与は事業所の業績にリンクさせます。「事業所の業績が○○の場合は、昇給(減給)は△△となる。」という基準をはっきりと作成しておくことが必要になります。「事業所の業績が上がってこその職員の昇給」です。業績悪化が続いて事業所が閉鎖され、雇用を維持できなくなったりすれば、本末転倒です。

【特徴4】 職員の評価は組織的に決定されるため、不平・不満が減ります

介護・福祉事業所の多くは、職員の評価は直属の上司あるいは経営者自らが行っていました。当事務所のやり方ですと、管理者全員が集まって、一般職全員の評価を行います。最初は、各管理者により評価にバラツキが出ますが、回数を追うごとに組織的な評価となり、ばらつきがなくなってきます。すなわち、特定の職員に対する「えこひいき」、「不当な低評価」がなくなり、「事業所の統一基準」が確立されてくるのです。このやり方を採用すれば、所謂「考課者訓練」はしなくてもよくなります。

【特徴5】 評価基準がオープンなため、職員のなすべきことがはっきりと示されます

もし職員が高い目標を目指したとしても、目標の達成度には、職員により差異が生じます。高い目標を達成することもいいのですが、もっと大切なことは小刻みにでも職員の能力が持続的に向上していくことです。管理者が職員に評価結果をフィードバックするのは、職員の能力向上を目指すためであり、このことが組織力の底上げにつながるのです。

当事務所の人事制度見直し・作成の手順

当事務所では、次のような手順で、人事制度の見直し・作成を進めてまいります。

STEP1 人事制度基本方針の確認

  1. 経営者の方から経営方針や人事制度にたいする想い、考え方等をヒアリング
  2. 各階層の介護職員を対象にしたヒアリング又はアンケート
  3. 人事制度作成のための社内プロジェクトチームの結成(人選)

STEP2 資格等級制度作り

  1. どのような職軍分類(ヘルパー・介護専門員・看護師・事務員)にするか
  2. どのような階層にするか
  3. 職員資格は何等級制にするか

STEP3 評価制度作り

  1. 何をどのように評価するか
  2. 職軍分類(ヘルパー・介護専門員・看護師・事務員)、階層(管理職、一般職、専門職)に応じて、「評価シート」を作成する

STEP4 賃金制度作り

  1. 給与体系(基本給、勤続給、職能給、役割給、諸手当・・・)はどうするか
  2. 賞与配分をどうするか

STEP5 ステップアップ制度作り

  1. 昇格・降格基準はどうするか
  2. 昇進・降職基準はどうするか
  3. 新卒者・中途採用者の各付けはどうするか

STEP6 社内説明会資料の作成、及び社内説明会

  1. 人事制度は職員が活用できて初めて効果(介護職員の成功⇒事業所の成績向上)を発揮します。
  2. 運用前に職員に説明を行い、不安な部分や疑問点をしっかりと解決しスタートするために職員向け説明会を行う。

STEP7 就業規則(賃金規程)等の変更・届出

  1. 各種手当統廃合冶金学の見直し等による、就業規則(賃金規程)の変更・届出を行います。

STEP8 評価決定と教育研修制度(フィードバック)の実施

  1. 評価の決定はどのように実施するか
  2. フィードバックのための個人別面談をどのように実施するのか
  3. 人時制度の見直しにより賃金が下がってしまう職員のモチベーション低下をどのようにカバーするのか(初年度は旧賃金を保障、上司によるマンツーマン教育等)